家づくりにおいて、一年を通して快適な室内環境を維持し、エネルギー消費を抑えることは、多くの方が重視するポイントです。
その実現には、建物の断熱性能が不可欠であり、特に「WB工法」を採用する際には、どのような断熱材を、どれくらいの厚みで用いるべきか、具体的な仕様を知りたいというニーズが高まっています。
断熱材の種類や性能、そして建てる場所の気候条件によって、最適な厚みは異なってきます。
今回は、WB工法における断熱材の厚みの決め方や、地域差による目安について詳しく解説していきます。
WB工法での断熱材の厚みの決め方
厚みを決める断熱材の種類と特徴
WB工法で一般的に採用される断熱材には、セルロースファイバーや木質断熱材などがあります。
セルロースファイバーは、新聞紙などの古紙をリサイクルして作られ、高い断熱性能に加え、吸放湿性による調湿効果も期待できるのが特徴です。
一方、木質断熱材は、木材繊維を固めて作られ、断熱性能はもちろんのこと、構造的な強度や吸音性にも優れています。
これらの断熱材は、それぞれ固有の熱伝導率(λ値)や密度を持っています。
熱伝導率が低いほど、また密度が高いほど、断熱性能は高くなりますが、同じ厚みであっても、素材が異なれば熱を通しにくさ(熱抵抗値)は変わってきます。
したがって、断熱材の種類ごとの特性を理解することが、適切な厚みを検討する上での第一歩となります。
断熱性能目標UA値と厚みの関係性
住宅の断熱性能を示す指標として、UA値(外皮平均熱貫流率)が用いられます。
UA値は、住宅の外壁、屋根、床、窓などからどれくらいの熱が逃げやすいかを示す数値で、この値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。
国は、地域区分ごとにUA値の基準値を定めており、建築する地域が寒冷であるほど、より厳しい(低い)UA値が求められます。
UA値を達成するためには、壁や屋根、床などに使用する断熱材の総熱抵抗値(R値)を確保する必要があります。
断熱材の熱抵抗値(R値)は、「断熱材の厚み(d)」を「熱伝導率(λ)」で割ることで計算されます(R=d/λ)。
つまり、UA値の目標値を達成するためには、使用する断熱材の熱伝導率に応じて、必要な厚みが決まってくるのです。
WB工法の断熱材厚み目安
WB工法において、断熱材の厚みは、目指すべきUA値と、使用する断熱材の種類によって算出されます。
例えば、UA値の目標が0.46W/(㎡・K)(地域区分4~7地域の一部)の場合、セルロースファイバー(熱伝導率約0.040W/(m・K))を使用すると、壁内でおおよそ155mm以上の厚みが必要となります。
木質断熱材(熱伝導率約0.038W/(m・K))を使用する場合でも、同様のUA値目標に対して、同等以上の厚みが求められる計算になります。
ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、実際の設計においては、窓の性能や熱橋(ヒートブリッジ)対策なども含めて総合的にUA値を算出し、断熱材の厚みが決定されます。
工法や断熱材メーカーが推奨する仕様を確認することも重要です。

WB工法における断熱材の厚みの地域差
地域区分ごとの厚み目安
日本の省エネルギー基準では、地域を8つの区分に分けており、地域区分が上がる(寒冷になる)ほど、断熱性能の基準値(UA値)は厳しくなります。
例えば、最も温暖な地域区分1ではUA値0.85W/(㎡・K)以下、最も寒冷な地域区分8ではUA値0.28W/(㎡・K)以下が基準とされています。
このUA値の基準の違いが、断熱材の必要厚みに直接影響します。
寒冷な地域ほど、より多くの熱が外部へ逃げようとするため、それを防ぐために断熱材の厚みを増やす必要が出てくるのです。
WB工法においても、この地域区分に応じたUA値目標を達成するために、使用する断熱材の厚みが調整されます。
寒冷地と温暖地の厚みの違い
具体的に、寒冷地である地域区分1~2地域と、温暖地である地域区分6~7地域とを比較すると、断熱材の厚みには顕著な差が生じます。
例えば、地域区分1~2地域でUA値0.40W/(㎡・K)以下を目指す場合、セルロースファイバーであれば壁内でおよそ200mmを超える厚みが必要となる計算になります。
一方で、地域区分6~7地域でUA値0.56W/(㎡・K)以下を目指す場合、同じセルロースファイバーでも155mm程度の厚みで基準をクリアできる可能性があります。
このように、寒冷地ではより高い断熱性能が求められるため、断熱材の厚みが増加する傾向にあります。
ただし、温暖地であっても、夏場の冷房負荷を軽減し、快適性を高めるためには、十分な厚みの断熱材を施工することが望ましいと言えます。

まとめ
WB工法における断熱材の厚みは、単一の基準で決まるものではなく、断熱材の種類ごとの特性、達成すべき断熱性能目標(UA値)、そして建物を建てる地域の気候条件(地域区分)という複数の要素が複雑に絡み合って決定されます。
断熱性能の指標であるUA値は、地域区分によって基準値が異なり、寒冷な地域ほどより低いUA値、すなわち高い断熱性能が求められるため、それに伴って断熱材の必要厚みも増加します。
また、同じ厚みであっても断熱材の種類によって断熱性能は異なるため、素材の選択も重要です。
ご自身の家づくりにおいては、これらの要素を十分に理解し、専門家と細やかな打ち合わせを重ねながら、最適な断熱仕様を決定していくことが、長期的に快適で経済的な住まいを実現するための鍵となるでしょう。