広々とした吹き抜け空間は、開放感あふれる魅力的な住空間ですが、夏場には特有の悩みが生じがちです。
特に、暖かい空気が天井付近に滞留する「熱だまり」は、せっかくの快適な空間を不快なものにしてしまうことがあります。
日中の暑さや室内の熱源によって温度が上昇した空気は、密度が低くなり上昇する性質を持つため、吹き抜けの高い天井部分に集まりやすくなります。
この温度ムラを解消し、室内の空気を効率的に循環させることで、吹き抜け空間の快適性は大きく向上します。
今回は、この熱だまりを効果的に解消するための具体的な送風術について詳しく解説していきます。
吹き抜けの熱だまりの原因と日射の影響
温かい空気が上に溜まる性質が原因
暖かい空気は密度が低くなり軽くなるため、自然と上昇するという物理的な性質があります。
この性質は、床面積が広く天井が高い吹き抜け空間において、より顕著に現れます。
室内の暖められた空気や、人が発する熱、家電製品からの放熱などが積み重なると、床面付近の空気よりも天井付近の空気が格段に温度が高くなり、いわゆる「熱だまり」が形成されます。
この熱気は、自然換気だけではなかなか下まで降りてこないため、室内の上下で温度差が生じ、不快感の原因となります。
日射による温度上昇も熱だまりを助長
吹き抜け空間に設けられた大きな窓や高窓は、開放感や採光をもたらす一方で、夏場の強い日差しを直接室内に取り込みやすいという側面も持ち合わせています。
窓ガラスを通して室内に侵入した太陽光エネルギーは、内装材や家具などを暖め、それらが発する輻射熱によって室温をさらに上昇させます。
特に、日中の時間帯に太陽光が長時間当たる箇所では、その影響は大きくなり、天井付近の熱気を一層高め、熱だまりの形成を助長する要因となります。
空気循環で熱気を下げるのが基本
吹き抜け空間における熱だまりを解消するための最も基本的なアプローチは、滞留している熱気を強制的に動かし、室内の空気を循環させることです。
空気は動かすことで温度が均一化されやすくなり、天井付近に溜まった熱い空気を床面付近へ送り込み、冷たい空気と混ぜ合わせることで、全体的な温度ムラを軽減できます。
この空気循環を実現するために、扇風機やサーキュレーターといった送風機器を効果的に活用することが、快適な室内環境を維持するための鍵となります。

熱だまり解消に効く送風術の具体的なやり方は?
サーキュレーターは天井付近の空気を下に送る
サーキュレーターは、その名の通り空気を循環させることに特化した家電であり、吹き抜け空間の熱だまり解消に非常に有効です。
最も効果的な使い方は、サーキュレーターを部屋の対角線上の天井付近に設置し、真下、つまり床面に向けて風を送ることです。
これにより、天井付近に滞留している暖かい空気を効率的に下方へ押し出し、床付近の冷たい空気と混ぜ合わせることができます。
運転モードを「強」に設定し、首振り機能をオフにすることで、狙った箇所へ力強い風を送ることが可能になります。
扇風機は窓際やドア付近で外気と入れ替える
扇風機は、サーキュレーターとは異なり、直接人に風を送ることを想定した設計ですが、空気の入れ替えという目的で活用することも可能です。
特に、窓が開けられる状況であれば、扇風機を窓際やドア付近に設置し、室内の熱気を外へと排出し、新鮮な外気を取り込む「換気」の役割を担わせることができます。
例えば、窓に対して外側に向けて風を送ることで、室内の暖かい空気を外に追い出す効果が期待できます。
風量・風向きは部屋の形状に合わせて調整
送風機器の効果を最大限に引き出すためには、部屋の形状や広さ、家具の配置などを考慮し、風量や風向きを細かく調整することが不可欠です。
例えば、縦長や横長といった部屋の形状に合わせて、空気の流れが淀む場所がないように設置場所を工夫したり、天井が高い場合は、より強力な風量で空気を押し下げる必要があったりします。
また、壁や家具に風が直接当たると乱気流が発生しやすいため、ある程度距離を置く、あるいは間接的に風を送るといった調整も有効です。

まとめ
吹き抜け空間特有の熱だまりは、暖かい空気が上に溜まる性質や日射の影響によって発生し、室内の快適性を損なう原因となります。
この問題を解消するためには、サーキュレーターや扇風機を用いて室内の空気を効果的に循環させることが基本となります。
サーキュレーターは天井付近の熱気を下方に送り込み、扇風機は窓際での換気として活用できます。
それぞれの機器の特性を理解し、部屋の形状や広さに合わせて風量・風向きを適切に調整することで、吹き抜け空間の温度ムラを解消し、一年を通して快適な居住空間を目指しましょう。